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振動障害
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国内・国外における研究状況及び特色・独創的な点

末梢循環障害

振動曝露労働者の末梢神経障害の診断には、ヨーロッパでは安静時の振動覚閾値、温冷覚閾値が中心として行われている。一方、わが国では安静時及び冷水負荷後の振動覚閾値、痛覚閾値を中心として行われ、必要に応じて末梢神経伝導速度検査が行われているのは上述した通りである。
この研究の独創的な点を以下に述べる。

  1. わが国ではforce choice methodによる痛覚閾値と振動覚閾値の測定であるが、von Bekesy法による振動覚閾値の測定を導入しようとしていること。
  2. 振動覚閾値測定上で、force choice method法による測定とvon Bekesy法による測定を多施設共同研究として多数例で比較すること。
  3. 振動覚閾値、CPT値に加齢が及ぼす影響について、影響があるとする論文、否定的な論文がある。この点についての検討を行う。
  4. 振動障害の末梢神経障害の評価にCPTを応用した論文は数少ない。まして、多施設共同研究による多数例で評価したものはない。
  5. 振動障害の末梢神経障害による機能検査所見の程度が糖尿病性神経障害、絞扼性神経障害、頚部脊椎症性神経根症、頚部脊髄症等の検査所見と比較し、どの程度のものであるかについての明らかにし、治療と補償上での問題点を提起したいと考える。
  6. 感覚閾値に及ぼす皮膚温の影響について、Harazinら[9]は平均皮膚温が25.8±1.6℃の時と、31.1±1.5℃の時を比較し、125Hz刺激では5.5dB、250Hz刺激では12.5dBの閾値の差があるとの報告している。Koradecka[10]は室温21℃で、年齢18~30歳(平均22.3歳)の30名の男性で、14℃の冷水、45℃の温水で、前腕・手を冷却または加温し皮膚温16℃~34℃の範囲で、刺激周波数63,125、250、400、500、640、800Hzでの振動覚閾値を調べた結果、測定中の皮膚温は27~32℃の範囲に維持する必要性を指摘している。この点について、可能であれば確認作業を行いたいと考える。