脳・心臓疾患
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研究の概要
研究1「業務の過重負荷と脳・心疾患発症との関連に関する調査研究」
研究2「急性心筋梗塞患者における性格特性と冠動脈病変の再発」
研究3「業務の過重負荷と頚動脈硬化病変の進展との関連に関する研究」
研究報告書等一覧
研究2「急性心筋梗塞患者における性格特性と冠動脈病変の再発」

勤労者 脳・心臓疾患研究センター
分担研究者 両角 隆一 ; 関西労災病院核医学診断部長

 タイプA型人間とは、せっかちで競争心が強く攻撃的で仕事好きの野心家とされています。理想が高く、自分にも他人にも過剰な要求をするために“心配”“不安”などの感情に陥りやすく、その結果として、ストレスが高じやすいために血管、心臓の病気になりやすいというのです。すなわち、タイプA性格(type A behavior)は虚血性心疾患発症の危険因子の一つとされているのです。さらに今回の研究から、このような性格は急性心筋梗塞患者の急性期血行再建術時に留置されたステント部における再狭窄病変の出現(ステント再狭窄)、血管病変の再増悪を促進する因子であることが判明しました。
 この研究では、急性期にPCIによる血行再建術が施行された初回急性心筋梗塞患者112例において、タイプA性格の中でも重要とされる敵対的性格特性と再狭窄病変出現との関連についての検討を行いました。慢性期の冠動脈造影において112例中30例に再狭窄病変を認め、この再狭窄有り群30例と同無し群82例で性格特性を比較しました。その結果、敵対的性格特性の8つの下位釈度項目の内7項目で再狭窄有り群の方が高値を示し、特に身体的攻撃尺度においては統計学的にも有意な差が認められました(図)。
 ストレスを感じやすいタイプA性格、中でも敵対的性格を有する方は再狭窄病変が生じやすいと考えられます。このような患者様におけるストレスへの対策は非常に重要と考えられます。

図


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