年をとると滑ったり、つまずいたりして転びやすくなります。日本では、年間8,000人近くが、転ぶこと(転倒)が原因で亡くなられています。働く高年齢者(60歳以上は1138万人で全労働者の18.7%)が増えている現在、転倒は労働現場においても大きな問題です。転倒が原因で4日以上仕事を休むような労働災害は、60歳未満では全体の17%、60歳以上では全体の38%と大きく異なります。転倒は、骨折を合併することが多いため休みも長期化しがちです。この転倒災害は、50歳代から増えています。元気に働いている人でも勤務中に転倒することがあり、それが高齢というほどでもない年齢から増えているというのは何故でしょう。職場の環境が悪いからでしょうか。おそらくは、身心の状況が転びやすい状態に老化し始めているのだろうと思います。
私たちは、高年齢労働者が増えている中、職場の健康・安全を守るために「働いている人の転倒災害対策」に焦点を絞って、具体的に2つの研究開発テーマを掲げ研究を行うこととしました。