近年心不全患者が急増していて、その原因は多様です。高血圧が原因の心不全では心収縮能は保たれているにもかかわらず拡張機能が低下する例と極端に心機能が低下する例を認めます。
本研究は心不全を発症した高血圧患者において特定の遺伝子が心機能低下に関与するかを検討します。将来的に心機能の低下が予測される高血圧患者を同定することで重症心不全発症予防に寄与できる可能性があります。
本研究により、現時点では明らかでない高血圧の心筋線維化に及ぼす分子メカニズムが解明できれば、発症予測アルゴリズムの構築、新薬の開発など、さまざまな臨床応用に道を開くことが出来ます。高血圧を指摘される勤労年代において遺伝子レベルでの解析が進むことで、より早期からの治療介入が可能となり将来的に心機能が低下して発症する心不全のリスクを低減することが期待されます。