勤労者 脳・心臓疾患研究センター |
分担研究者 |
和田 安彦 ; 関西労災病院医療情報部長 |
|
山根 冠児 ; 中国労災病院脳神経外科部長 |
脳卒中や心筋梗塞など脳や心臓の血管の突発的な疾患は動脈硬化の程度と強い関連があります。そして動脈硬化症は比較的長期間に渡るさまざまな原因(高血圧、高脂血症、糖尿病、ストレス、感染症、炎症など)によって発生・進展すると考えられています。
本研究では、労働負荷がどの程度動脈硬化と関連しているかを、460人の病院勤務者を対象に、各種アンケートと頸動脈エコー検査を同時に行って調べました。頸動脈エコー検査とは動脈壁の厚さを計測する検査で、厚い部分(プラーク)がどの程度あるかが分かります。
その結果、量的労働負荷では短い睡眠時間と遅い就寝時刻、質的労働負荷では技能を十分に活用されていないと感じていること、仕事の裁量権が少ないと感じていることなどが動脈硬化の程度と関連していました。
また、職種間で比較したところ、男で職種間格差が認められ、技能業務職と事務職で動脈硬化の程度が高い傾向にあることが判明しました。
量的労働負荷およびそれと関係の深い睡眠と、動脈硬化指標との関連
質的労働負荷(NIOSH職業性ストレス調査票)と動脈硬化指標との関連
これらの結果は、研究1の脳・心疾患発生の調査と同様のものでした。このことは両研究の妥当性(適切であること)を示すきわめて重要な証拠と思われます。
本研究で用いた問診票の項目の一部でも職場の健診に採用していただくなど、本結果を健康管理に活用していただければ幸いです。
|