脳・心臓疾患
普及TOPへ戻る
研究の概要
研究1「業務の過重負荷と脳・心疾患発症との関連に関する調査研究」
研究2「急性心筋梗塞患者における性格特性と冠動脈病変の再発」
研究3「業務の過重負荷と頚動脈硬化病変の進展との関連に関する研究」
研究報告書等一覧
研究の概要

業務の過重負荷による脳・心臓疾患(過労死)分野

勤労者 脳・心臓疾患研究センター
主任研究者 南都 伸介 ;関西労災病院循環器科部長

【説明】「過労死」は、労働時間が他の先進諸国に比べて伝統的に長かったわが国で30年以上前に社会問題として提起されました。近年は産業構造の変化に伴い労災の認定件数が年々増加している状況です。さらに経済のグローバル化に伴う競争激化によってこの問題は複雑化してきています。例えば、労働者の経済格差拡大が健康格差の拡大にもつながっていることなどが指摘されるようになってきました。
 このような状況のなかで、業務の過重負担と脳・心臓疾患の発症との関連については未だ分からないことも多いのが現状です。本研究では、そこを明らかにすることにより、現行の認定基準のエビデンスを補強し、効果的な予防・診断及び再発防止法の確立を目的として次の事項について研究開発を行います。

(1)業務の過重負荷と脳・心臓疾患発症との関連に関する研究
 40歳以上の勤労者の過去5年間の総労働時間数、年次有給休暇日数などと健康診断結果、職業性ストレスの状況等を匿名化した上で収集し、分析を行うと共に、その対象者の中で脳・心臓疾患を発症した勤労者について、発症時の健康状態、勤務状態も調査分析し、業務の過重負荷と脳・心臓疾患発症との関連を研究します。

(2)急性心筋梗塞患者における冠動脈病変の再発と性格特性の関連に関する研究
 急性心筋梗塞の血管内の専門的手術として代表的なものは、詰まった血管にステント(人工血管)を通す手術ですが、予後を比較すると心筋梗塞のリスクが高いとされているアグレッシブな性格の患者の方が、詰まりにくく、再発率は低いとの臨床経験があることから、この臨床経験を検証し予防法に役立てるために、ステント手術を受けた急性心筋梗塞患者を対象に冠動脈病変の再発と性格特性について調査研究し、再発予防法に繋げることとします。

(3)業務の過重負荷と頚動脈硬化病変の進展との関連に関する研究
 頚動脈硬化病変は、糖尿病、高血圧、高脂血症、肥満が危険因子であり、死の四重奏の重篤度を測定するのに適切な指標であると言え、その検査方法も頚動脈の内膜、中膜複合体肥厚度(IMT)を超音波検査機で測定する簡便なものであることから、この頚動脈硬化症と業務の過重負荷(労働時間、役職、ストレス等)との間に関連があるか調査研究を行い、過重労働による健康障害の危険因子や予防法の検討を行います。


COPYRIGHT