メンタルヘルス
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研究1

【目的3】 個別介入(生活習慣の改善)および事業場介入(ストレス対策プログラム)の
効果検証
(平成18年6月−平成19年7月)

 B社2事業所546名を対象にMENTAL-ROSAIを基にした総合ストレス対策(個人介入、 事業所介入)を実施し、その効果を検証した。
【個人向け介入】CES-D16点未満を対象
  • 回答者に対して、健康的な生活習慣への改善を目指したWebによるアプローチを実施。
  • 健康習慣に関する先行研究(森本,1990:松本,2002等)をもとに生活習慣指導コメントを体系化し、調査結果とともに回答者に報告。
【事業所向け介入】
  • 事業所全体の調査結果を集計・分析し、報告書を事業場内産業保健スタッフに提出。(平成18年9月)
  • 人事担当者、産業保健スタッフを対象に結果報告及び対策検討会を開催。(平成18年10月)
  • 回答者、管理監督者を対象に教育研修、ストレス対策検討会、管理職を対象とした面接等を複数回実施。(平成18年10月〜)
図

【結果】介入効果(健康度、ストレス、生活習慣)

  • 「職場の人間関係」において事業所介入と個別介入の交互作用
    (F=4.12, p<0.05)
  • 「同僚からのサポート」に個別介入の主効果
    (F=6.37, p<0.01)
  • 「仕事生活への満足度」に事業所介入の主効果
    (F=4.11, p<0.05)
  • その他ストレス関連項目、生活習慣得点、CES-D得点等に有意差は認められなかった。
調査時における各従属変数の平均値
調査時における各従属変数の平均値
介入効果の共分散分析の結果
介入効果の共分散分析の結果

考察

<個人向け介入について>
  • 個人向け介入の効果は「同僚からのサポート」で確認され、介入群で有意にサポートへの認知が高まっていた。このことから、コメントを受けることによって周囲のサポーターの存在に気づいたり、新たにサポーターを見つけるよう努力したりしていた可能性が推測された。
  • 一方で、それ以外の職業性ストレス要因、生活習慣、精神的健康度では、レーダーチャートのみによる報告とそれに介入コメントを加えた報告では、改善効果の差が見られなかった。このことから、レーダーチャートのみでも回答者に一定の情報を提供できることが示された。
  • 今後は、限られたスペースの中での更なる報告内容の充実を求めていくとともに、Webツールの有用性と限界についても検証する。
<事業所向け介入について>
  • 事業所向け介入の効果は「仕事生活への満足度」においてのみ見られ、事業所介入を受けた者で受けなかった者に比べ、満足度が有意に上昇していた。事業所介入では、管理職に対し、仕事におけるコミュニケーション研修を実施しており、これが受講した管理職およびその周辺の人々に良い影響を与えた可能性が示唆された。
    しかしながら、これ以外の要因においては、介入の有無による改善効果の差は見られなかった。
  • 事業所介入後の評価については、過半数から職場の抱える問題点や課題が明らかになったとの回答を得た。
      *「職場全体のストレス状況がわかった」58%、
      *「部下に対する対応の課題が明確になった」50%、
      *「職場メンタルヘルスに対して必要な情報が得られた」68%、
      *「本システムはリーダーにとって役に立つと思う」58%
    こうした影響が職場全体に浸透して介入効果として現れるには、より具体的かつ長期的な展開が必要と考えられる。引き続き縦断研究による検討が望まれる。

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