メンタルヘルス
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研究1

【目的2】勤労者の健康度と職業性ストレスに関する分析(平成18年6月)

調査結果をもとに、以下の4点について分析を行った。
(1)職場のストレス要因と精神的健康度
(2)周囲のサポート(上司・同僚・家族友人)と精神的健康度
(3)「仕事・家庭への満足感」と精神的健康度
(4)生活習慣(HPI)と精神的健康度

【今回の研究で得られた知見/まとめ】
  • 精神的健康度と関連する職業性ストレス要因は、「仕事コントロール度」「Demand/Cont rol比」「上司・同僚・家族友人によるサポート」「仕事・家庭満足感」であった。
  • 「仕事コントロール度」「サポートの所持度(特に上司からのサポート)」「仕事・家庭満足感(特に仕事満足感)」が高いことがうつ傾向の高さに、Demand/Control比が高いことはうつ傾向の低さに影響していた。
  • 労働者のうつ傾向を高めないためには、「労働者の仕事のコントロール度が高くなる」「上司からのサポートを得る」「仕事満足感が高まる」「Demand/Control比が低くなる」等の職場環境の改善を行うことが有効であることが示唆された。
  • 生活習慣が不良な者が7割を占め、「不良群」では「中庸群」より有意にCES-D得点が高く、精神的健康度が低いことが示された。今回はあくまで横断の結果であるため、関連性が示されたに過ぎないものの、生活習慣が不良な者では、中庸レベルへと改善することにより精神的健康度が高まる可能性が考えられ、縦断研究による確認の必要性が考えられた。
  • 趣味がある、食事が規則正しい、朝食を毎日食べる、睡眠6時間以上、多忙である者の精神的健康度が高く、こうした生活習慣を持つことが、よい精神的健康状態と関連していると考えられた。

(1)職場のストレス要因と精神的健康度

  • 「仕事の量的負担」が高いことと、CES-D得点との関連はみられず、「仕事のコントロール度」が高い者ほど、CES-D得点が低かった。
    ⇒「仕事コントロール度」が高いことが、精神的健康度を高めることが認められた。
  • 「Demand/Control比(健康リスク)」が高い者ほど、CES-D得点が高くなっていた。
    ⇒「Demand/Control比」が高いほど、精神的健康度を低めることが認められた。
CES-Dと「仕事量」「コントロール度」「Demand/Control比」の関連
図
「仕事量」と「コントロール度」のCES-Dへの影響
図
「Demand/Control比」のCES-Dへの影響
図
◆Demand/Control比
 「仕事の量的負担」を「コントロール度」で除した値。
 この値が高いほど健康リスクが高くなる。

(2)周囲のサポート(上司・同僚・家族友人)と精神的健康度

  • 周囲のサポート項目のいずれにも有意な負の相関関係。
  • サポートの所持度が高いほど、CES-D得点が低かった。
    ⇒上司や家族・友人のサポートを得ている者は、精神的健康度が高くなった。
    ⇒中でも、「上司のサポート」を得ていることが、精神的健康度を高める効果が最も大きい。
周囲のサポート(上司・同僚・家族友人)の有無とCES-Dとの関連
図
周囲のサポート(上司・同僚・家族友人)のCES-Dへの影響
図

(3)「仕事・家庭への満足感」と精神的健康度

*「仕事」「家庭」いずれにおいても、満足感を得ている者ほど精神的健康度が高かった。
*特に「仕事への満足感」の影響が大きかった。
仕事満足感4群によるCES-D平均値比較
図
家庭満足感4群によるCES-D平均値比較
図
仕事・家庭満足感のCES-Dへの影響
図

(4)生活習慣(HPI)と精神的健康度

*HPI平均得点=4.23 (SD:1.32, range:0点-8点)
*「不良」評価が395名(73%)
【HPI得点の分布】
図
  • HPI(health practice index):生活習慣指数
    生活習慣の健康度を評定する指標。
    森本(1991)の基準に基づき、望ましい習慣「あり」を1点、「なし」を0点として得点化し、その合計を算出する。
図
【生活習慣と精神的健康度との関連】
図
*生活習慣「不良」群で「中庸」群より有意にCES-D得点が高かった。
 (F=14.80, p<.01)
<精神的健康度との関連がみられた生活習慣項目>
・趣味を持っていない(F=10.49, p<.001)
・多忙を実感している(t=2.98, p<.01)
・睡眠時間が7〜8時間以外(t=2.30, p<.05)
・食事が不規則(t=4.81, p<.001)
・朝食を食べない(t=6.96, p<.05)
・自覚ストレス量が「多い」
以上の項目に当てはまる人ほど、精神的健康度が有意に低かった。
(F=68.23, p<.001)

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