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研究課題[1]
―職業性アレルギー性接触皮膚炎に対するパッチテストの標準化の研究・開発―

文献からみた職業性接触皮膚炎

 職業性接触皮膚炎に関する国内外の文献について、MEDLINEによる検索で「occupational」 & 「dermatitis」で調べると、1987年以降2006年までで約4,000の文献が抽出されます。その中では、歯科や病院で発症する接触皮膚炎やラテックスアレルギー、理・美容師の接触皮膚炎、金属アレルギーに関する報告が多くなされています。
 これらの職業性接触皮膚炎の報告をみると、当然のことながら、ほとんどが手に発症した接触皮膚炎です。理・美容師は見習いの若年者が皮膚炎にかかりやすく、原因物質としては染毛剤成分であるパラフェニレンジアミンが多いこと、医療従事者のラテックスアレルギー、職業性アレルゲンとしてのニッケルなどの金属の重要性などは各国に共通です。その他、各国の産業事情やその土地での特産物に関連する職業性接触皮膚炎が報告されています。エクアドルのじゃがいも畑1)、パナマのバナナ園2)、台湾の果樹園3)など、農業が盛んな地域では、従事者の殺虫剤や農薬による皮膚炎の報告が多いです。世界第1位のチューリップ球根生産国のオランダからは栽培者のチューリップ皮膚炎の報告があり、球根の皮に含まれるtulipalin A、tuliposide Aが原因です4)。イギリスでは印刷工場での皮膚炎の報告5)、スイスでは金属加工業などの皮膚炎の報告6)、台湾やインドでは建設業のセメント皮膚炎が社会問題化しており、インドでは出稼ぎ労働者などがセメント皮膚炎とともに、不衛生な環境で細菌感染、真菌感染、疥癬などの感染症を発症しています7, 8)。軍事紛争の絶えないイスラエルからは軍人の燃料と油との接触による皮膚炎が報告されています9)。北欧のノルウェーでは水産加工業者の皮膚炎10)、フィンランドではスキー板の製造業者に発症するエポキシ樹脂への接触アレルギーもしくはグラスファイバーによる刺激性皮膚炎が報告されています11)

<参考文献>
1)Cole DC et al:Contact Dermatitis 37:1-8,1997
2)Penagos H et al:Dermatitis 15:137-145,2004
3)Guo YL et al:Occup Environ Med 53:427-431,1996
4)野村 茂:改訂産業医学100話,労働科学研究所出版部,86-87,2006
5)Livesley EJ et al:Occup Environ Med 59:487-492,2002
6)Berndt U et al:Dermatology 198:351-354,1999
7)Guo YL et al:Contact Dermatitis 40:1-7,1999
8)Kuruvila M et al:Indian J Dermatol Venereol Leprol 72:129-132,2006
9)Wolf R et al:J Toxicol Environ Health 43:7-11,1994
10)Aasmoe L et al:Contact Dermatitis 52:102-107,2005
11)Jolanki R et al:Contact Dermatitis 34:390-396,1996

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