独立行政法人労働者健康福祉機構 研究普及サイト

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職業性呼吸器疾患

テーマ4.新たな粉じんによりじん肺の実態調査に係る研究

わが国では、従来から隧道工事や金属鉱山から発生する珪肺や炭鉱夫じん肺、窯業じん肺、溶接工肺などのじん肺が広く知られているが、その後、歯科技工士じん肺の存在も注目されるようになった。じん肺は過去の疾患と思われがちであるが、今後ともこれまで知られていなかった職種や原因物質による新しいじん肺が発生してくる可能性が考えられ、それらの疾患の診断や予防のために、新たなじん肺の発掘や調査が必要である。今般、新たなじん肺の調査を行った結果、超硬合金肺の2例を収集することができた。
超硬合金肺とは, 1940年にJobsらによって初めて報告された炭化タングステンとコバルトからなる超硬合金の粉塵を吸入することで発症する職業性肺疾患であり、超硬合金関連作業者の0.7縲鰀13%にみられる。症状は咳嗽,呼吸困難,喘鳴などが挙げられ,粉塵からの回避により改善する。超硬合金吸入による生体反応には個体差があり、アレルギー反応との関連も示唆されている。
今後ともこれまで注目されていなかった新たなじん肺の実態調査を継続していきたい。